「経営顧問 費用相場」で検索すると、月5万円という情報もあれば、月50万円以上という情報も出てきます。同じ「経営顧問」という言葉なのに、なぜここまで幅があるのでしょうか。

結論から言うと、金額の違いは能力の違いというより、契約に含まれる範囲の違いであることがほとんどです。この違いを知らずに金額だけで比較すると、思っていたサポートが受けられなかったり、逆に不要な範囲まで契約して割高になったりします。

まず、契約形態別の費用感を整理する

契約形態 費用感の目安 向いている会社
顧問契約型(定額・月次) 月5万円〜50万円 継続的に相談相手がほしい会社。訪問頻度・対応範囲で金額が大きく変わる
時間制(スポット契約) 1時間5,000円〜10万円 特定のテーマだけ相談したい会社。継続契約より単発向き
成果報酬型 売上・利益の数% 明確な成果指標がある案件(M&A・資金調達など)向き。日常的な相談には不向き

同じ「顧問契約型」でも月5万円と月50万円の差が生まれるのは、次の3点の違いによるものです。

決めごと1:顧問料に何が含まれるかを、契約前に文章で確認する

「月1回訪問・1時間」の顧問契約と、「随時のチャット相談+月1回訪問+緊急時対応」の顧問契約では、当然後者の方が高くなります。ところが、口頭の説明だけだと「だいたい月1回くらい」という曖昧な合意のまま契約してしまうことが少なくありません。

例えば、月10万円の顧問契約を結んだものの、実際に使えるのは月1回・1時間の定例ミーティングのみで、それ以外の相談は都度追加料金がかかることを後から知った、というのはよくあるケースです。逆に、緊急時の相談にもすぐ対応してもらえる契約だと分かっていれば、同じ10万円でも納得感が変わります。

チェックリスト

  • 月あたりの訪問・面談回数が、回数として明記されているか
  • 訪問・面談以外(メール・電話・チャット)の相談が、追加料金なしで含まれるか
  • 緊急時の相談に、通常と別料金なしで対応してもらえるか

決めごと2:「意思決定にどこまで関与してほしいか」で選ぶ

経営顧問に求める役割は、会社によって大きく異なります。「壁打ち相手として意見をもらえれば十分」という会社もあれば、「実際の意思決定にまで深く入り込んでほしい」という会社もあります。後者になるほど、顧問側の時間的な拘束が増えるため、費用は高くなる傾向があります。

例えば、月次の業績報告を聞いて助言するだけの関与と、経営会議に毎回同席し、その場で意思決定に加わる関与とでは、必要な準備・稼働時間がまったく違います。相場より高いか安いかを判断する前に、自社がどちらを求めているかを先に決めておく必要があります。

チェックリスト

  • 「意見をもらう」のか「意思決定に加わってもらう」のか、期待する関与の深さが決まっているか
  • その関与の深さに見合う頻度・時間が契約に含まれているか
  • 社内の誰が顧問との窓口になるかが決まっているか

決めごと3:契約期間と見直しのタイミングを、始める前に決める

経営顧問契約は、税理士や弁護士の顧問契約と違って、成果や相性が数ヶ月経たないと見えにくいという特徴があります。最初から長期契約を結んでしまうと、合わないと感じても見直しづらくなります。

例えば、「まず3ヶ月契約で試し、双方合意のうえで継続を判断する」という形にしておくと、金額だけでなく相性も含めて冷静に見直せます。逆に、最初から年間契約を前提にすると、途中で「思っていたのと違う」と感じても、契約期間中は変更しづらくなります。

チェックリスト

  • 最初の契約期間が、長期契約ではなく試用期間的な長さになっているか
  • 契約期間終了時に、双方が継続・終了を判断する場が設けられているか
  • 解約条件(予告期間・違約金の有無)を事前に確認しているか

よくある質問

Q. 経営顧問と顧問税理士・顧問弁護士は何が違いますか。

顧問税理士・顧問弁護士は、税務・法務という専門領域に特化した相談相手です。一方、経営顧問は経営全般(戦略・組織・新規事業など)を対象とするため、相談できる範囲は広いですが、その分「何を相談できるか」の定義が契約によって変わりやすいという特徴があります。

Q. 複数の経営コンサルティング会社を比較検討すべきですか。

金額だけで比較すると、決めごと1・2で触れた「範囲の違い」を見落としがちです。比較する際は、金額だけでなく、対応範囲・関与の深さを同じ条件でそろえたうえで比較することをおすすめします。

Q. 成果報酬型の契約は避けた方がよいですか。

M&Aや資金調達など、成果が明確に定義できる案件では成果報酬型が合理的です。一方、日常的な経営相談のように成果を数値化しにくいテーマでは、成果報酬型だと双方の認識にずれが生じやすく、定額の顧問契約の方が向いています。

Q. 経営顧問は何人と契約すべきですか。

必ずしも1人である必要はありませんが、決めごと2で触れた「意思決定への関与」を複数人に求めると、誰の意見を優先すべきか分からなくなることがあります。深く関与してほしい相手は1人に絞り、専門領域ごとのスポット相談は別途使い分けるのが現実的です。

経営顧問の利用を検討する目安

社内に相談できる相手がいない、あるいは既存の人間関係の中では言いにくいことがある、と感じたときが検討のタイミングです。特に、社長が一人で経営判断を抱え込んでいて、客観的な意見をもらえる場がまったくない場合は、金額の大小より先に「壁打ち相手がいない」というリスクの方を重視した方がよいでしょう。

3つの決めごと・まとめ

決めごと 固めておくこと
① 顧問料に含まれる範囲 訪問・面談回数、追加料金の有無、緊急時対応の可否
② 求める関与の深さ 「意見をもらう」か「意思決定に加わってもらう」か、社内窓口
③ 契約期間と見直し 試用期間的な契約期間、見直しの場、解約条件

経営顧問の費用相場を調べても、金額の幅が大きすぎて判断材料にならないと感じた方も多いと思います。金額そのものより、この記事で挙げた3つの決めごとを先に固めておく方が、結果的に自社に合った顧問契約にたどり着く近道です。

私たちのような少人数のコンサルティング会社が経営顧問として関わる意味があるとすれば、代表が直接、経営判断の壁打ち相手になれることだと考えています。

この記事の執筆者:株式会社シン

中期経営計画策定・新規事業開発支援・経営顧問を専門とする、少人数の経営コンサルティング会社。 野村総合研究所出身の代表を中心に、幅広い業界での支援実績があります。 会社概要・代表紹介 →