中期経営計画の策定を依頼されると、多くの経営者がまず「フレームワークをどう埋めるか」から考え始めます。しかし実務上つまずきやすいのは、フレームワークそのものではなく、着手前に決めておくべきことが曖昧なまま走り出してしまうことです。

不動産、エネルギー、鉄道、ICT、旅行、製薬など、業界の異なる新規事業・中期計画の支援に携わっていると、業界が変わってもつまずく場所はだいたい同じだと感じます。ここでは、計画づくりに入る前に固めておきたい3つの問いを紹介します。

問い1:誰のための計画か

中期経営計画は、社内向け(経営陣・従業員の目線合わせ)と社外向け(金融機関・投資家への説明)とで、必要な精度も見せ方も変わります。社内向けなら多少粗くても意思統一が優先されますが、社外向けなら数値の裏付けや前提条件の説明責任が重くなります。

ここを決めずに進めると、後半になって「この資料は誰に見せるものだったか」で議論が振り出しに戻ることが少なくありません。

問い2:何年先を、どの精度で見るか

3年計画と5年計画では、求められる確からしさがまったく異なります。特に新規事業を含む計画では、3年目以降の数値は「精緻な予測」ではなく「意思決定のための仮置き」として扱う方が、実務上はうまくいきます。

「何年先まで、どの程度の精度で見るか」を最初に合意しておくと、途中で数値の細かさを巡る不毛な議論が減ります。

問い3:計画のオーナーは誰か

計画を作ること自体より、作った後に実行・修正し続けられるかどうかが成果を左右します。策定時点で「この計画の進捗に責任を持つのは誰か」を明確にしておかないと、完成した瞬間に「作って終わり」の資料になりがちです。

少人数の会社であれば、経営者自身がオーナーを兼ねるケースも多いはずです。それならそれで構いませんが、「兼ねている」ことを自覚しておくことが大切です。

まとめ

中期経営計画は、フレームワークに数値を埋める作業ではなく、上記3つの問いに対する経営判断の集合体です。ここが曖昧なまま外部のコンサルタントに依頼しても、出てくるものは的外れになりがちです。策定を検討される際は、まずこの3つを社内で言語化してみることをおすすめします。

私たちのような少人数のコンサルティング会社に依頼する価値があるとすれば、こうした「本題に入る前の整理」に、代表が直接、時間をかけて付き合えることだと考えています。

この記事の執筆者:株式会社シン

中期経営計画策定・新規事業開発支援・経営顧問を専門とする、少人数の経営コンサルティング会社。 野村総合研究所出身の代表を中心に、幅広い業界での支援実績があります。 会社概要・代表紹介 →